帝王号のクラッチOH B 

クラッチ装着完了。

まずは お約束の重量比較。以下はメーカー公表値ではなく帝王測定による実測値。
重さ 備考
純正 ダブルマスフライホイール単体 11.5kg
※磨耗分あり
ECS ライトウェイトフライホイール単体 5.3kg ※新品
純正比 -6.2kg
純正 クラッチカバー&ディスク合計 4.8kg ※磨耗分あり
LUK S4クラッチカバー&ディスク合計 6.6kg ※新品
純正比 +1.8kg

重さ
純正 総合計(フライホイール+カバー+ディスク) 16.3kg
ECS  総合計(フライホイール+カバー+ディスク) 11.9Kg
純正比 -4.4kg
ECS RA4フライホイールのECS公表値は12ポンドなのでおおよそ5.44キロ(実測は5.3キロ)。 純正の実測値は11.5kg(約26ポンド)。 フライホイールだけで考えれば6kg以上の軽量化にはなる。 ただ、ECSのキットはご覧のようにフライホイールよりもクラッチの方が重い。S4・RS4のクラッチ本体が240mmの大型で重いので全体では4.4kgの軽量化となる。実際、心配していた軽量フライホイールの欠点と言われるアイドル時の不安定さや低速トルクの減少などはさほど感じなかった。実際の軽量化と大径になったフライホイール(ディスク、カバーも)によって慣性マスが確保され、それで相殺されている部分で低速トルクの減少などはさほど違和感なく実現できていると思う。 そしてレスポンスの良さは軽量化というよりもダンパーレスになったフライホイールの効果も大きい。

ECS RA4クラッチコンバージョンに交換後、300kmほど走ってみた。今回のOHのきっかけとなった暖気後にクラッチが切れなくなり、1速とリバースに入らなくなる事がまず改善された。症状は一度も出ない。この点は普通にクラッチOHで改善されたと思う。 そしてRA4クラッチにして良くなったこと。それはまず滑らなくなった事。帝王号は滅多にやらないがブーストを1.5程に上げて走る事を繰り返すとブーストの頂点と共に滑ってしまうことがあったがこれがまず改善された。そして吹け上がりの良さ。トルクの落ち込みが全然感じられないままエンジンはずっと軽くなり、回転の落ち込みが速いので「手漕ぎDSG」の如く素早いシフトアップ・ダウンが可能になり、飛ばせば飛ばすほど楽しくなった。 他にも良くなったことがある。それは今までの帝王号だとブーストの立ち上がりで加速開始の前に一瞬「ガツン!」というショックが感じられたが、これがすっかり消えた。それは今考えるとダブルマスのフライホイールの軸方向の動きだったのではないか?と思う。今回はソリッドなのでそれが無くなった・・・・という事にする(笑)
追記
ECSのサイト内にB6のマニュアルミッションにRA4クラッチを組み付けるyoutubeの動画がある。この中でフライホイールが軽すぎてエンストを起こすシーンがあり、おそらく軽すぎるとこうなるがRA4フライホイールは軽すぎないので大丈夫!と言いたいのだろうが、これは本当。しつこいがフライホイールの軽量化による発進時の半クラッチの難しさ、坂道での失速、アイドリング不調、定速走行でのパワー感の不足・・・・この1.8T用のRA4クラッチコンバージョンキットに限ってはこれらは全部皆無と言っていい。

しかし・・・・

こんなに書くと良いことばかりだが、このクラッチコンバージョンキットは万人には勧められない。なぜならクラッチペダルの踏力が重すぎるのである。いかにも強化クラッチ!といった感じ。文章で説明するのは難しいが、ノーマルのクラッチペダルを二枚横に並べて左足一本で二枚同時に踏んだ感じだ(笑) 倍重いということ。 ミートポイントはかなり下になり、ダイレクト感があるので感覚はつかみやすいが疲れている時や渋滞などは辛い思いをすると思う。そして製品の品質のバラつき。実際にECSのフライホイールはセンターが出ていないものが中にはあるようだ。その他にもフェーシングの精度が良くないのかジャダを早期に起こす場合もあるらしい。こればかりは精密な定規や機材を使って予め組み付け前にチェックする以外に取り付けてみないと判らない。それからダブルマスフライホイールの撤去による振動とショック。マニュアルの運転に自信のない方で普通にギクシャクしている方だとシフトアップ・ダウンの度にガツンとなるかも知れない。

そういった事を除けばECSのRA4クラッチコンバージョンキットは冒頭に書いた慣性マス〜クラッチの踏みしろまでは設計上、きっちりしていると思う。 

アメリカのサイト、AudizineなどではECSのクラッチキットについてこんな感じの画像が沢山出てくる。 

これもそう。 要はECSのフライホイールの厚さが薄すぎて取り付けに関して不安になっているのである。 前回のページに書いたB6のキットにだけ付属しているロングのプッシュロッドが余計に不安を煽っている(笑) 自分もそうだったが全く心配無用である。 今回お世話になったショップ(レースカーを製作しているようなメカに強いプロショップ)のメカニックさんはノギスや定規で取り外した純正のクラッチASSYとRA4のキットを取り付ける前に点検して「全然心配ないよ?」と言っていた。これはフライホイールの厚さ云々よりS4用のクラッチの高さとレリーズのストローク量を計算すると純正のクラッチカバーよりS4用のクラッチの方が厚さがある点で相殺されているのとレリーズのストロークが設計上確保されているので問題ない。それから、海外サイトのB5/B6の1.8T専用BBSを観覧していると「ECSの軽量フライホイールにするとディーゼルエンジンのような音になる」と書いているアホがいる。これは1.8TのこのRA4クラッチに限っては皆無。音が出るのはV6ターボエンジンの6速。アウディ製のA4 1.8Tのミッションはソリッドフライホイール特有のガラガラ音は出ないと断言できる。クラッチを繋げて音がする場合はミッション内部の損傷で間違いない。


以下は今回交換した部品。15年以上頑張ってきたお疲れさんなパーツです。

約9万キロを走破したクラッチ。15年もよく頑張ったと思う。

リベットまでは1mm弱。微妙な感じ(笑)

これはクラッチカバー。青い囲みに焼け跡が見える。絶妙な間隔。これがクラッチが反った跡?もしくは何らかのジャダの跡だと思う。クラッチが切れなくなる原因が「クラッチの反り」だと周囲に言い放ってきた帝王さんの予言は的中ということでOKですかね?(笑)

焼けた跡ですね〜〜〜反った跡〜〜〜ということにしましょう。

これがダブルマスフライホイール。 これもカバーと同じような間隔で焼け跡が。

これはパイロットベアリング。国産ではあまり使われないニードルタイプ。指でクルクルさせると重くなっていた。RA4のキットにも付属していたが、それはS4用なので取り付け不可だった(笑) これはゴルフ4、TTと共通なのでしばらくは国内ストックがあると思う。

これはレリーズベアリング。クラッチカバーのダイヤフラムスプリングを直接押している部品。 結構ガタガタでした(笑)
ちなみにこのベアリングはRA4のキットに付属されているが、当たる部分は樹脂製だった。大丈夫なんだろうか?と思う。

これはミッションに付くレリーズのスリーブ。この筒状になっている部分に上のレリーズベアリングが合体する。レリーズとこのスリーブ間はグリスで潤滑されているが、年数が経てば動きが渋くなり磨耗して段差が出来る。そうなるとクラッチの動きもスムーズにいかなくなる。

これはスリーブの裏側。 ここにミッションのフロントシールが付く。帝王号は若干漏れていた。 このパーツを交換するにはミッションを降ろす必要があるので今回は勿論交換。

今回はクラッチOHであっても帝王号の年式を考えても単純にクラッチキット交換だけでは終われない。これはエンジンのクランクリアシール。いい感じでエンジンオイルが漏れていたので丁度良かった。 ミッションを降ろさないと作業できないので今回は交換した。

裏面(エンジン側)。アルミのハウジングとシールが一体になっていてお値段15000円ちょっと。
この他にもエンジン真裏(ミッションの上)のウォーターフランジのクーラント滲みの修理など、ミッションを降ろした状態の方が作業しやすい部分はケチらずに同時に作業したほうがいい。

追記

これはミッションの上部にあるシフトロッド部。降りた状態でないと確認できない部分である。ここのシールからオイル漏れを起こしていたわけだがシールの在庫が国内に無かった。B5の1.8TQ自体、個体が少なくマニュアルミッション用のパーツが日本国内に在庫しているのは稀なので仕方がない。帝王号はMADEinJAPAN の武蔵(ムサシ)製オイルシールを代用した。径は外径内径共に適合したシールがある。厚さが若干違うが信頼性はこちらの方が数段上だと思う(笑) ただオイルシールの硬さの違いなのか?最初はシフトレバーの動きが渋かった。ここ数日から馴染んだようで気にならなくなっている。



おまけ

ECSのB5用(パサート1.8Tも含む)ラインナップにはこんなのもある。

これはAEBエンジン専用。 たった9ポンド(約4.1キロ)しかないアルミボディのフライホイール(フェーシングは勿論材質が違う)。 純正のクラッチに対応するので全体で7kg以上の軽量化になり、おそらくそのレスポンスは相当なものだと想像できる。なぜAEBにだけ超軽量のこんな専用品が用意されているのか?という疑問はあるが、クラッチは軽いままレスポンスを激変させるフライホイールとしてなら面白そうな感じはする。




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