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スポーツクワットロの現代版を目指し、超気持ちの良いターボエンジンを追い求める私にとってこのヘッドチューニングは避けられないものでした。TAPの最終ステ−ジ7にグレードアップする為でもあります。ヘッドチューニングは地味な作業ではありますが、エンジンチューニングの基本である吸気排気の効率アップには欠かせないものです。「完成度の高いNAエンジンはより良いターボエンジン生み出す」。エンジン本体の効率化はタービンを良く回し、ブーストが掛かってから上(高回転)での爆発的な加速に繋がります。ターボ車はパワーアップが簡単です。燃調さえ取れればブーストを上げてしまえばいいわけです。同じブースト値で更なるパワーを出すならタービン交換も必要でしょうが、基本となるエンジン本体を見直すことができればもっと楽にパワーを引き出せるでしょう。A4に限らず、今やフォルクスワーゲンのゴルフ、ビートル、パサートなどにも採用されている1.8リッターターボエンジン。私は経験上、このエンジンはかなり耐久性があると見ており、そしてなんらかのエンジンチューニングを施しているオーナーの大多数はその理由にパワー不足もそうですが、エンジン特性を変えたいという方が多いです。そう言い切れるのは私の経験です(その昔、日本やアメリカのアウディオーナーの方々とメールしておりました 笑)。社外のチューニングパーツ、例えばROMチューンから始まり、タービンキット、持込でのファクトリーチューニングなどもありますが、エンジン本体に手を入れているチューニングはあまり見かけませんね。日本では1.8Tの”ヘッドチューニング”に関する情報はまだまだ少ないのが現状です。ここはひとつ、私が人柱的に実践して1.8Tのヘッド分解から加工作業、またその効果をみなさんに公開しましょう。余談ですが、私の知る限り、アメリカでも1.8Tのヘッドをチューニングするアウディオタクは少ないらしいです。日本での相場は1.8Tのヘッド加工をしている(できる)所が少ないので解りませんが、アメリカでのヘッド加工の相場は約$1000です。
ヘッド加工に使用した部品(帝王さんの場合)
ヘッドG/K |
アフターの外国製メタルガスケット入れようと考えましたがどうせ銅板ですし、精度を考えて純正としました。ワンオフも考えましたがそこまでするのは腰下やる時でいいです。そこまでパワーアップしてませんとゆーか、純正のガスケット抜けてませんし、メタルなので十分です。あ、アメリカ製の銅板使ってる人いたらメールしてください(笑) |
インマニG/K
エキマニG/K |
無条件で交換です。チューニングして燃調が濃い場合、未燃焼ガスが増えてこういうG/K類(ヘッドG/Kも)は炭化し腐食しやすくなっています。 |
タペットカバーG/K |
これはプラグホールG/Kとセットです。プラグホールがオイル池になる前に交換しましょう。 |
カムシール |
カムシャフト二本ですから2個必要。 |
バルブシール |
悲しいかな20バルブですので20個必要。
なぜか1個800円以上しますよ・・・・(´∀`;) |
タイミングベルト
(リペアキット) |
今回、交換時期でしたので交換しました。
これはリペアキットなるもので対策品のテンショナー類がセットとなっております。約60000キロが交換時期ですよ!10万キロじゃないです! |
( ̄□ ̄;) 追加部品
ラッシュ・
アジャスター
(油圧タペット) |
実は5万キロを過ぎた辺りから若干ではありますが、始動時などにカム辺からエンジン回転に同期してカチカチと音がしていたのですが、原因はコレでした。これがイカれると異音だけではなく、バルブが規定値まで開かなかったりするのでパワーダウンになり燃調が狂ったりします。ホント、些細な音なので気にならないと言えば気にならなかったのですが、バラしてしまって原因がはっきりしてしまった以上は交換します。インテーク側5個不良。今回は不良箇所のみ交換。一個4700円成。価格はこんなもんでしょう。もっと高いと思ってましたが、これなら国産と同等ですね^^ |
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分解しま〜す!
↑ヘッド降ろして一番見たかった部分がこの腰下の状態です。
シリンダーはめちゃくちゃ綺麗でピストンヘッドも思ったよりも綺麗でした。
正直ビックリです^^
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↑燃焼室はこのありさま。当たり前ですけど真っ黒です。
チューニング後の画像へ
↑吸気バルブにはかなり頑固なカーボンが付いてます。
吸気バルブは凝っていて、より吸入量を確保する為にバルブステムが半分ほど細くなっています。
レース用エンジンのバルブみたい。排気バルブはナトリウム封入らしくこれまた凝っています。
バルブは組付け前に研摩されます。
しっかしこのカーボン・・・・インジェクタークリーナーを定期的に使っていてもこの状態でした^^;
↑バルブを外すとこんな感じです。
チューニング後の画像へ
↑排気バルブから荒削り開始です。
バルブの間にはウォータージャケットがありますので削りすぎると
こんにちはです。必ずプロに任せるべきですね。
↑荒削り中・・・・。
限界まで拡大させています。粗削りでこれですから仕上げは更に拡大しているでしょう。
↑排気側の荒削り終了し、吸気側の荒削りを開始した直後。
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↑吸気ポート研磨開始。
「→」の矢印で表している部分はかなり大きな段差です。
これは恐らく製造過程のシート加工中にできたもの間違いないでしょう。鋳物ですから継ぎ目も目立ちます。
これだと高回転域で空気の流れをかなり乱しますし抵抗になります。
画像一番奥のポートは粗削り最中ですが、このように段差と鋳物の継目を無くして拡大させていきます。
流速を速める為にわざと削らない例もありますがターボですし、低〜中速型エンジンを高回転型にするのですから 思い切って拡大させます。思い切ってただ拡大するという表現だと雑に作業しているような感じにとられそうですけど、 実は”限界まで削るポート加工”というのが一番手間と時間がかかる贅沢なものなのです^^;
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↑ 吸気ポートの研摩を終え、最終の”ポート研摩”開始です。
↑ これは最終仕上げ終了の排気ポート部。
限界まで広げています。私も男なので低回転域なんて考えてません(謎)
↑ そしてこれが吸気側です。ナイフエッジ加工が見えない(笑)
それくらい尖っているってことです。真正面から撮らなきゃ良かった^^;
↑ 吸気排気のポート研摩が終了しましたら、お次は燃焼室加工です。
画像右側は加工前です。「→」の矢印が指している部分をスキッシュエリアと言います。
ココを左のように綺麗に削り落とします。吸気側は完全に除去されています。
スキッシュエリアは長所短所があるのですが、高回転域ではこの部分に熱が溜まってしまいピストンに対して
均等に熱が広がらないのです。インテーク側のスキッシュが一番熱が溜まるのです。
チューニング前の画像へ
↑ スキッシュ除去、燃焼室研摩が終了したらお好みの圧縮比に合わせて面研を行ないます(すげー簡単に言ってますが 笑)
吸気排気ともボアアップしているのがわかりますか?
チューニング前の画像へ
↑ 研摩されたバルブとシート部分を研摩加工をして擦り合わせを施して組み付けた状態。
↑ これで”ポート研摩”が終了です。いかにも回りそうなヘッドが完成しました。
早く載せて4000くらいからレッドまでブン回して思いっきり楽しみたいです^^
チューニング前の画像へ
今回の作業は吸気側ピストンの傘部分の薄さや、排気ポート間のウォータージャケット、更に精密な20バルブエンジン・・・・と
ポート加工を施すにはかなりの手間と時間がかかる作業でした。これを受けてくれた”超職人”さんのS氏に感謝します。
本当にありがとうございました。
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インプレッション!
「チューニングヘッド搭載でこう変わった!」
以下の3点が大きな効果でした(誰でも体感できるくらいの効果)。
@アイドリング時の音。 |
ウーファー付きになりました(笑)かなりの重低音というかドロドロ〜〜っとした感じの音に変わりました。空気が入って燃焼されて抜けていく・・・ってな音です。 |
A高回転でのレスポンスとパワー |
これが最大の目的だったのですが、想像以上の効果でした。4000から上で更にトルクがグワッとついてきます。これはホントに凄いです(笑)K26タービンを今までよりも楽に回しているといった感じです。 |
Bブーストの立ち上がり |
上に大きく関係しますが、ワインディング等で中〜高回転でアクセル全開−全閉などで走っていても絶えずトルクがモリモリ状態です。シュゴ〜っと言う音も凄いですし、バックタービン音も凄いです(タービン可哀相ですけど^^;)。 |
Cウエストゲートの音 |
これに関しては全く考えていませんでしたが、ウエストゲートのゲ〜ゲ〜音がかなり大きくなってしまいました^^; スキッシュ削除などで圧縮比を落として燃焼室容量が増えているのでタービンより前のエンジン本体が明らかに多く空気を吸って吐いているという事になります。 |
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PS
今回はもちろん燃調を取り直しています。今ままで一番燃調イイ感じです^^ 取り直して判ってきたのですが、Stage6、7のROMって本当にヘッド加工(ビッグバルブやポート拡大)前提のROMっぽい気がします。誰に言っても判らないと思いますけど・・・・・・ |
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おまけ
アメリカの1.8Tヘッドチュ−ニング事情
名づけて直行便ニューヨーク!(謎)
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TAP
(アメリカ) |
私の師匠、イーヴォルさんが社長をしているアメリカ最大のアウディーチューナーです。かなり硬派で職人気質のイーヴォルさんが経営しているので機能パーツ以外はほとんど扱ってないんです(笑)ですが、ドイツのM○M社の技術を意識しつつ、ライトチューニングから本格的なレースエンジン製作までかなり信頼の高いチューニングを行なっています。
その”ハードな面”を象徴しているのがまさにこのビッグバルブヘッドでしょう。
まさに男のヘッドです(笑)
排気バルブはナトリウム封入のビッグバルブを使っています。350馬力オーバーの1.8T,2リッター化した400馬力のラリーエンジンを製作する場合はこのビッグバルブにするそうです。
ポートはかなり削っているようですが、表面の仕上げは鏡面加工ではないようです。 |
EIP
(アメリカ) |
アメリカで主にラビット(VWゴルフ)でのレース活動を行なってきたチューナーです。タービンからスーパーチャージャー、オリジナルピストン、コンロッドなどかなり私好みのチューナーです。対応はかなりルーズでてきと〜ですが(笑)
ただ〜し!いい仕事するらしいですココは。
う〜ん・・・・真面目なポート加工ですね。仕上げは鏡面に近いくらい磨いています。排気ポートは独自の加工(強烈なスワールを発生させる)をしているそうですが・・・・う、見えね〜・・・・しっかしアメリカはスワールが好きですね(笑)
このチューナー、なぜかかなりのチューニング済み1.8Tヘッドの在庫があるらしいです。この怪しい所がこの会社を長生きさせているのでしょう(謎)
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