BMWはエンジンが駄目すぎる! 

2019年の仕事を振り返ってみて、入庫してきた車両で自分の判断とお客さんの決断によって廃車、またはオークション送りになった車は5台くらいある(ちなみに他店で購入した車)。異音で入庫し抜いたオイルに鉄粉が混ざっていてブロー確定したのが2台(BMW X1、320)。もう一台はエンジン不調で入庫し一発圧縮がなく乗り換え(BMW MINI)。もう一台は警告灯で入庫、エンジンも不調で微かな打音と廃油が金色になっていたので乗り換え。もう一台は暖気後の打音で入庫(X3)。 自分は輸入車に携わって20年以上になるが、ここ最近のBMWエンジンは駄目だと思っている。品質が明らかに低下していて、まず個体差がありすぎる。オイル漏れの頻度も含めて壊れすぎ。今ではメルセデスの倍は壊れると思う。

今回の車は先に書いた暖気後の異音で入庫したX3(F25 28i NA3L直6)。実測で見ると水温が上りきった付近でエンジン下部から「コン・・コン・・コンコン・・」と打音。気にならないレベルだが、明らかにおかしい。車内だとわからない。お客さんはドライブ中にエンジンをかけたまま車を降りたときに気が付いたという。
※以下、画像は車両を特定されないように加工編集しています。


エンジンをかけたまま、リフトアップ。 サウンドスコープを使ってみるとオイルパン内部から明らかな打音。こうなると自分は躊躇せずにエンジンを吊ってフレームを降ろし、オイルパンを開ける。ちなみにここ数年のBMWはエンジンを吊る場合は牽引フックを使う。この車(F25 28i NA3L直6)も同様でヘッド上部に大きなネジ穴がある。そこへ牽引フック(車載のフックはなぜか合わず、E90フックを使用)をねじ込めばエンジンを吊ることができる。

オイルパンを開け、トルクスでテキトーに留まっているオイルストレーナー、バッフルプレートを外す。オイルパンを外した時点で溜まった廃油に鉄粉、切子あり。 そして見上げたらもう・・・駄目だと確信。 画像は左がエンジン前方。1番はオイルポンプに隠れて見えないが、赤丸部分が2番。2番以外のコンロッドキャップの色を見て。


これが2番のコンロッドキャップ。真っ黒だ。異常な熱で焼けた証拠。

キャップを外すと・・・メタルがクランクに張り付いたまま。張り付いたままというか、焼きついてしまっていた。修理も考えたが、鉄粉や切子がオイルパンに沈殿していた時点でヘッド含めてどこに不純物が回っているかわからないのでフルオーバーとなる。よって程度良好なエンジンを見つけて乗せ替えることに。

後日、エンジンが来たので作業開始。気合が入ればこんなのは3時間もあれば降ろせる。


中古品はハーネスとミッションが付いたまま送られてきたのでエンジンとミッションを切り離し、エンジンを入れ替え。


せっかく降りているので各部を徹底的にリペアする。


移植するものはエンジンECU、ハーネス。直噴ではないのでハーネスまで替える必要はないが、私は移植する。直噴の場合はインジェクター照合が必要なため、インジェクターも移植する。



降ろすのに3−4時間。入れ替えなどの準備で1−2時間。乗せてからバルブトロニック設定やエア抜き、試運転、足回り調整、などを入れ、かかって5時間くらい。トータルでも2〜3日で終わる。


「BMW エンジン 載せ替え」「BMW エンジン 下ろす」「BMW エンジン 中古」などで検索すると、専門店含めて色々なログが出てくる。見てると参考になるし面白いが、どうしてブローしたのか?どうして修理しないのか?などが書かれていないものが多い。


内部の音はよく聞くこと!

私はBMW専門ではないし輸入車を売っている業界の人間なので嘘も言いたくないしはっきり書くが、エンジンは異音があったら駄目なんです。タペットの異音であってもエンジンの異音というのは打音がほとんどであり、打音があるという事は磨耗が進んでいるということ。よく、「こんな異音だけは要注意」などと書かれている方がいるが、内部の異音はどんなものでも駄目。走行距離も関係ない。なぜなら今回のこの車両は2万キロ前後であり、冒頭に書いた車両のほとんどが5万キロ以下だった。このことから、BMWのエンジンはバラつきが多く、乗れるものは20万キロ走ろうが問題ないが駄目なものは最初から駄目ということだ。認定中古車も何も関係ない。



それなら、新車から購入後10万キロオーバー、中古車で売られている10万キロオーバーなど、日本人感覚で言う、所謂「過走行車」で調子の良い車の方が安心かと思う。走っているけど調子が良い・・・これが一番。 そういう車はどうぞ大事に乗ってあげてください。メンテナンスしていれば20万キロまでは普通に乗れますから。

中古車を買う場合はディーラー認定だろうが関係なく、異音に関しては冷間温間で時間をかけてみるべきだが、素人には無理だろう。 業者はオークションへ送り込む際、警告灯が点灯していればリセットして消してしまうように、異音に関しても添加剤を入れて消してしまう場合もある。1週間くらいの保障(クレーム)期間が過ぎれば不具合が起きても関係ない。オークションは騙し合いなのだ。



このような添加剤を使う。これはエンジン保護性能は勿論、小さな異音は消してしまうほど。個体差はあるが、添加剤を嫌うプロでも使ってしまうというくらい。2液性なので今までの添加剤とは少し違う。








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