BMW E87
セルモーター交換
で直らず・・
 



E87の118が始動不良でレッカー入庫。
「エンジンがかからない。バッテリーではないかな?」といレッカーさん。 レッカーさんが118を降ろして去ったあと、症状を確認。メーター内どころかルームランプも元気に光っている。 バッテリー電圧は11.8V。 ??。 セルスタートを押してもウンともスンとも言わない。いやいや、違うでしょ。バッテリーじゃないでしょと。 


インマニ下からの電装物が焼けた臭いでセルは確実にお亡くなりになっているのがわかったので、リビルドのセルとインマニガスケットを準備してさっさと交換。インマニは外す必要はあるものの、インマニ外し、セル交換で30分、折り返し含めても、この118のセル交換は1時間以内に終わる作業だ。全然苦にならない作業。待っていて作業も可能。

しかし・・・。
セルは回るようになったのだがエンジンはかからない。なぜなら2F44という故障が入ってしまっている。この故障は「DMEロック」と呼ばれるもので、セルは回しても燃料も点火もストップさせてしまう。この2F44の故障は単純にリセットだけでは消えない。消えないからエンジンはかからない。何も知らない整備工場だと慌ててハマッてしまうと思う。セルは交換できてもディーラーへ持ち込むかも知れない。

この場合はテスターがないとエンジンはかからない。リセット方法はDMEではなく、EWSの項目から入ってロック解除を行い、その後にEWSとDMEを同期させる。そうするとエンジンはかかる。普通は。


私が愛用するテスターです。輸入車を扱う整備工場さんサンデーメカニックさんは絶対買うべき。 主要な輸入車の故障診断・エラー消去・ライブデータ他が可能。

しかし・・・(2回目)。
今回のこの車は上記の作業をしたにも関わらず、初爆はするようになったもののエンジンはかからない。



こういう場合は問診を最初からやり直す。
エンジンがかかなくなってレッカーを呼んだ。ここまではわかる。そのとき、セルが回らずウントモスントモ言わなかった。ここもわかる。

問題はその前。
かからなくなる前、エンジンに何か不具合はなかったか?聞けばエンジンが最近調子が悪く、しばらく乗らなかった、久々にエンジンをかけようとしたらセルは回ったが諦めた。後日、またチャレンジしたがセルは回ったが、途中からセルも回らなくなった。

らしい。
さて、修理再開。セルを回してみる。最初だけ初爆あり。キュルキュルブーン。以降はキューン。爆発しない。何度やっても。 だが放置してからセルを回すと初爆あり。これはカブリの症状。プラグを変えてみる。結果は同じ。



過去の記憶をたどる。昔、−20℃の極寒地から運ばれてきた118・・・・セルは回るがエンジンがかからず、プラグ交換してもすぐカブる・・・・オイルフィルターを外したらセルを回していたのにカラカラに乾いていた・・・原因はオイル交換をサボっていたせいでオイルが乳化して氷結し、ヘッドまで油圧がかからず・・・・工場内でエンジンをヒートガンで温めて乳化したオイルを排出しオイル交換したら一発でエンジンが始動した・・・・・

118のエンジンオイル量の測定はエンジンを始動し暖気後でないと不可能。よってこの車のオイルの状態は見れない。過去の学習からフィルターを外してみる。オイルは回っているものの、よーーーーーーーくフィルターを見てみると黄色っぽくて薄っぺらな小さな小さな物体がビッチリ付着している。これはチェーンガイドの削れた破片である。次にオイルを計量しながら抜く。抜けたのは2L。 半分以下だ。 オイルをとりあえず規定の4.5L入れてみる。


エンジン始動。普通にかかった。
かかったのだが、あの破片だ。故障は入力されてないから、おそらく規定外まではタイミングズレなどはないのだと思う。加速も普通。異音もない。

破片の件、オイル交換の重要性を説明して納車となった。




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